中国・磨憨(モーハン)と接した国境の街、ラオス・ボーテン。この街はあたかも中国の”租界地”として一時期は発展を遂げましたが、2012年の訪問時にはすでにゴーストタウン化していた。その姿は、まさにセンセーショナル……でした。

う~ん、廃墟マニアにはおススメですが、私はそこまで、廃墟に造詣が深くありません。ラオス滞在期限が刻々と迫る中、いったん中国へ出国しようと考えていました。モーハンから中国シーサンパンナ(西双版納)界隈を旅行するのも一興。まずは、ボーテン‐モーハン国境の様子をお伝えします。
 

ボーテンで迎えた朝、歩いて国境へ向かいます

ボーテンの夜は本当に恐ろしい雰囲気。現代的な街並みに街灯は灯されているが、誰も歩いていない!宿の主人からは、まさに怪談のような恐ろしい噂話を聞かされ、実は眠るのが怖かったくらいです。まぁ、宿自体は写真のようにかなり小綺麗にまとめられ、居心地は良かったですよ。ただ、とにかく日が暮れたら外出はなるべくするな、食事などは主人と一緒に行けという教えは守りました。
 
夜が明けたら、この街を一刻も早く抜け中国へ行きたかった私は、外が明るくなり出した早朝にもかかわらず宿を発とうと決意。荷物を整え、宿の出口に向かったところ、ドアにはなんとチェーンがかけられており、外に出られない!え、まさかここに閉じ込められてしまったの・・・!?と一瞬目の前が真っ暗になりました。ただ、辺りを見回すと電話が置かれており、それで主人を呼び出してくれとのこと。そう、宿の主人は私を晩ご飯に案内し終わった後、宿入口にチェーンをかけ自宅に戻った様子。たぶん、この宿には住んでいないのでしょう。電話で連絡をすると主人はすでに起きていた様子。すぐに車で迎えに来てくれて、国境まで乗せて行ってくれました。
 

車から降ろしてくれた場所は、何もない駐車場です。朝モヤが煙る光景は、まあまあキレイかな。すぐに国境を越えてしまうのも芸がないので、近くの麺屋台で朝食をとりました。
 

十分に明るくなったので、さっそく国境に向かう

麺を食べているうちに、モヤはどこへ吹き飛んだのか?強烈な日差しが戻った普段の東南アジアの光景に戻ります。この広場から国境までは歩いてすぐの場所でした。

これが、ボーテンのイミグレーションです。パスポートチェックは単純タンジュン!1番の出境窓口でパスポートを提出して受け取るだけ、早朝のためか出国者も少なく、これほど楽な国境も珍しいのでは?
 

ラオスをイメージしたであろう仏塔モドキの下を通り過ぎると、しばらくは何もない草むらの道を歩きます。5分ほど歩くと、中国側のイミグレーションが見えてきました。
 

中国側、国境の街モーハン(磨憨)はある意味ボーテンより殺伐としてる街

いよいよ中国側のイミグレーションに到着しました。

これは中国の入国手続を終えた後、イミグレーションを出た時点で撮影したものですが、なんだこの豪華な建造物は!ラオス側のイミグレーションとは雲泥の差です。
 

モーハンの街に出てみましたが、誰一人として出会うことがありません。真新しい住宅が何軒も建つが人が住んでいる気配が全くない。ここもまさしくゴーストタウンだが、メンテナンスが良い分うらぶれた感じに乏しく、人だけが消えてしまったかの様子・・・こんなシーン、子供の頃にウルトラマンシリーズで見たような記憶があります。一応、何台かは車が通りかかったため、手を振って停めてみました。ではその車のドライバー氏との会話を再現します。

  • 私「バス停はどこですか?」
  • 車「モンラーまで乗せて行ってやるよ」「ところでお金は持っているか?」
  • 私「モンラーまでいくらくらいですか?ちなみに人民元は持っていないので、ラオスキープか米ドルでよろしいですか?」
  • 車「モンラーまで人民元なら100元だけれど・・・元じゃないとダメだな」⇒(少々の交渉)⇒「米ドルでもいいけれど、まぁ100ドルだな」

モーハンからモンラーまでは50km弱、車では1時間はかからない距離。まぁ100元は許容範囲でしょう。ただ、100ドルと言うのは・・・。おそらく元とドルの交換レートがよく判らなかったか、あるいはドルを受け取るのは面倒だから、かなり吹っ掛けたといったところでしょうが。
 
ここで交渉は決裂。仮に100ドル札を使ってまでモンラーに行きたくはありません。モーハンのバスステーションまではダメかと聞いてみたが、そちらには寄りたくないとのこと。30分ほどの間に他に停まってくれた車はありませんでした。
 

結局はボーテンに戻る

モーハンで粘って人を見つけ出し、なんとかモンラー辺りまで行きたいと考えていましたが諦めました。周囲の殺伐とした光景が、その先へ行く気力を失わさせたのでしょう。モーハンから先に行かない以上、再びラオスに戻るしかありません。足取りの重い中、モーハンのイミグレーションでは「今日入国したのに、なぜすぐに出国するのか」としつこく聞かれる。「シーサンパンナを旅行したかったのだが行き方が判らなかったので、再びラオスを旅行することにした」と答えると、出境職員はニヤニヤしながら出国スタンプを押してくれました。
 
ボーテンでまた宿泊するのかと憂鬱な気持ちでいたら、広場で一台のワゴンバスが停まっていた……Lucky!私は、その日にルアンナムターまで戻りました。


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